この記事は
2018年の夏に東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報額専攻の大学院入試に落ち、冬入試を受け直すことを決めた内部生が、院死後から現在(2018年12月)までの経緯、及び院試に落ちたおかげでかかった出費をまとめたものです。
対象読者としては、
- これから院試を受ける方(特に情報理工を受ける方)
- 院試に落ちた方
- 他人の不幸を嗜まれる方
を想定しています。
また、本記事は eeicアドベントカレンダー2018 に参加しています。
そもそも内部って院試落ちるの?
これから研究室配属のB4の方々には、研究に夢や憧れを抱いておられる方も多いかと思います。中には早いうちからバリバリ研究を進め、同期に差をつけてやるぞと意気込んでいる方もいるのではないでしょうか。大変結構なことだと思います。私もそうだったのでしょうか。なんかもう記憶が欠落しててよくわかりません。
ところで、かの名作 ”東京!一人暮らしだモナ Q棟201号室 ギコ男” の中の有名な一節に、以下のようなものがあります。
研究室に配属されたばかりの四年生にとっては、きっと目に映るもの全てが新鮮に見えるでしょう。しかし、そうして初めて接する研究の世界に目を奪われている内に、その背後には恐ろしい魔物が迫っているのです。
つまり、はやく勉強はじめようね~ということです。不合格までは行かずとも志望外の研究室に飛ばされるくらいはよくある話だし、勉強しておくべきだったのです。研究に関しては秋からいくらでも苦しめるのですから……(院試に落ちなければ)。
院死後の経緯と出費
経緯
9月4日に院死が発覚し、創造情報学専攻の冬入試を受けることに決めました。情報理工には冬入試を実施している専攻が幾つかあります。冬入試は過去問が抜けてたり学生を取る基準が不明瞭だったりとアレな点もありますが、院に行くつもりで就活なぞ一切していない四年生にとってはこれを受けるほかに選択肢がありません。
受けると決めた場合、院試当日までその準備と卒論がパラレルに進行していくことになります。例として、自分の学科(eeic)の卒論関連のスケジュールはこういう感じです。
- 九月末 中間報告書提出
- 十月初め 中間報告プレゼン
- 一月下旬 卒論題目提出
- 二月上旬 卒論提出
一方院試のスケジュールがこういう感じです。
- 九月~十一月 TOEFL iBT受験
- 十二月中旬 出願
- 一月下旬~二月上旬 院試本番
中間報告書と中間報告プレゼンの準備は割と時間がかかります。この時期は進捗にもよりますが、二週間くらい卒論漬けで院試勉強が進められなくなります。時期としてはTOEFLの勉強をしている時期になるでしょうか。ただこの辺りはまだ余裕があると思います。
また、見ての通り、院試と卒論提出の日程がきれいに被っています。取れる選択肢としては、直前まで完全に並行してやるか、卒論を早いうち(理想的には十二月中~一月初め)に潰して院試に専念するかです。私は後者の予定でしたがだめそうです。誰か助けてください。
ここには書いていないですが、九月から一月の間に卒論の内容で外部発表を行う人が結構います。成果になるのはもちろん、研究内容を整理できることもあり有意義ですが、準備の間院試勉強が進められなくなります。進められなくなりました。誰か助けてください。
続けて、院試関連で行った準備とそれにかかった金額を整理していきます。
明細
パスポート
落ちた翌日にはパスポートの申請に行きました。なぜパスポートが必要かというとTOEFL ITP/iBTのいずれかを受ければよい夏入試と違い、冬入試では必ずTOEFL iBTを受けなくてはならず、iBTは身分証としてパスポートを要求してくるためです。一応他の書類でも代用可能らしいですが、自分の場合はそっちもなかったので無理でした。パスポートの発行にはお金がかかります。十年だと¥16,000、五年だと¥11,000必要です。私は十年にしましたが、実はこれは失敗で、五年後まで生きているか怪しい方は五年にした方がよいと思います。
- パスポート(十年) ¥16,000
iBT対策の参考書
新しく参考書を買う必要がありました。単語帳はITPと共通のものを持っていたので買いませんでした。他もどうせやらないだろうと思ってあまり買わなかったので1、こんな感じです。
- ETSが出している公式ガイド ¥4,210
- リスニングの参考書 ¥2,700
iBT対策のオンライン英会話
iBTには、ITPと違いスピーキングがあります。この対策のためにオンライン英会話に登録しました。6,200円/月で、なんか契約の単位が三ヶ月かららしいので三ヶ月分契約することになりました。
- オンライン英会話の登録料x三ヶ月分 ¥18,600
一回30分週4,5回くらい受けて、多分役には立ったんじゃないかと思います。スピーキング14点とかでしたけど……。
iBTの受験料
一回あたり $235.00 USD で、日本円に換算するとこれくらいでした。
- iBTの受験料 ¥27,000
余談ですが、私はパスポートの発行待ちで10日くらい時間を取られました。そうこうするうちに近場の受験会場での予約は埋まってしまい、電車で一時間くらいかかる場所まで受けに行くことになりました。こうなると朝が早く、とてもつらいです。具体的には、近所では9月19日時点で10月28日までの予約が埋まっていました。更に遅れると電車で二時間とかにもなりうるので、これから院試に落ちる人は気をつけてください。
また、万全を期すなら複数回受けた方がいいですが、その場合受験と受験の間を12日開ける必要があり、またスコアの提出締め切りに間に合うには十一月初め~中旬(要確認)までに受験を済ませなければならないので気を付けてください。何にせよ予約は早めのほうがいいです。
専門科目の参考書
創造情報学専攻の場合、夏は他専攻の専門科目で受験できますが、冬はできません。このため私の場合、夏は電子情報学の専門科目で受けていましたが、冬は創造情報学の専門科目で受けることになります。当然新しく参考書が必要です。とはいえ、eeicでは授業で広い範囲を学ぶ都合、手持ちのノートや教科書でほとんど事が済みそうなので、とりあえず一冊だけ買いました。こういった場面においてeeicのカリキュラムは最高です。
- 離散数学の本 ¥1,680
大学院入試の受験料
何度受けようが毎回三万円きっちり東京大学に納めなくてはなりません。
- 情報理工の受験料 ¥30,000
出費まとめ
- パスポート(十年) ¥16,000
- ETSが出している公式ガイド ¥4,210
- リスニングの参考書 ¥2,700
- オンライン英会話の登録料x三ヶ月分 ¥18,600
- iBTの受験料 ¥27,000
- 離散数学の本 ¥1,680
- 情報理工の受験料 ¥30,000
- 胃薬
- 研究の進捗
- 卒業式や卒業旅行のことを無邪気に考える権利
総計 ¥100,190
まとめ
院試に落ちるな。
補足
ぶっちゃけ半分以上はiBT受験にかかった分だし、夏入試でもiBTを使いたければお金がかかります。私の場合予約が遅かったので一発勝負になってしまいましたが、保険として二回三回受けるのであればもっとかかるでしょう。
金の話ばかりしましたが、結局卒論と院試勉強を並行してやらないといけないのが一番つらいです。気が狂ってそううつだかうつそうだかと呼ばれるような状態になりこんなものを書き始めたりします。真面目に院試に落ちるべきではないです。
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実際これは正しく、普通に無理です。↩